
日本で働く外国人にとって、永住権の取得は安定した生活の大きな目標のひとつです。なかでも「特定技能」の在留資格を持つ人々は、一定の条件を満たすことで永住権取得の道が開かれています。本記事では、特定技能1号と特定技能2号の違いから、永住許可を得るための条件や支援体制までをくわしく解説します。
特定技能1号と永住権|なぜ取得が難しいのか?
2019年に創設された特定技能制度は、人手不足が深刻な産業分野において外国人労働者の受け入れを可能にする在留資格です。特定技能には「1号」と「2号」がありますが、最初に取得されることの多い1号については、永住権の取得が非常に難しいのが現実です。
その理由のひとつに、永住許可に必要な「在留期間の要件」があります。永住権を申請するためには、原則として「引き続き10年以上日本に在留していること」かつ、そのうち「就労資格または居住資格で5年以上在留していること」が求められます。
しかし、特定技能1号はその「就労資格」としてはカウントされません。つまり、特定技能1号での在留年数は、永住申請に必要な年数には含まれないのです。
さらに、特定技能1号には在留期間に制限があります。最長で5年間しか在留できないという制度設計上、仮に5年満了まで滞在しても、それをもって永住申請の条件を満たすことはできません。これにより、特定技能1号で日本に滞在している間に永住権を目指すことは、制度的に不可能に近いといえるでしょう。
特定技能2号なら可能!永住許可の条件とポイント
一方、特定技能2号については、永住権の取得が現実的に可能です。特定技能2号は、より高度な技能や経験を有する外国人に付与される在留資格で、対象分野も限られており、現時点では「建設業」と「造船・舶用工業」の2分野に限られています。
最大の特徴は、在留期間に制限がない点です。更新を繰り返すことで、事実上の無期限滞在が可能となっており、永住申請に必要な10年の在留期間を満たすことができます。
また、特定技能2号は「就労資格」として正式に認められており、在留年数のカウントにも反映されます。つまり、特定技能2号で5年以上継続して働いていれば、永住権申請の基礎的な条件をクリアすることができるのです。
とはいえ、特定技能2号であっても、永住権を得るにはほかにも多くの要件を満たす必要があります。たとえば、法令遵守や納税状況、収入の安定性なども重要な審査項目です。
また、日本国内に住む日本人または永住者の身元保証人を立てることも求められます。これらすべてを整えたうえで申請を行う必要があります。
永住権取得への道筋|資格変更・支援会社の活用法
特定技能1号から直接永住権を得ることは難しいですが、別のルートを通じて永住を目指すことは可能です。その代表的なステップが「特定技能2号への移行」と「ほかの在留資格への変更」です。
まず、特定技能2号への移行についてです。特定技能1号で働いている間に、対象分野での経験を積み、必要な評価試験に合格することで、2号への変更が可能になります。
この変更が認められれば、先述のとおり永住申請に必要な在留資格と期間を満たすことができます。実務経験の積み上げと試験合格は決してかんたんな道ではありませんが、制度上は明確に設けられたステップです。
また、特定技能からほかの在留資格に変更するという選択肢もあります。たとえば、介護分野で働いている人が介護福祉士の国家資格を取得すれば、「介護」の在留資格に切り替えることができます。
この「介護」資格は、就労資格として永住許可の対象になりますし、家族の帯同も可能になります。そのほかにも、「技術・人文知識・国際業務」や「高度専門職」などへの切り替えも検討の余地があります。
こうした資格変更や手続きの進行には、専門的な知識と情報が欠かせません。そこで活用したいのが、特定技能に特化した人材紹介会社です。
これらの会社は、就業先の紹介だけではなく、資格変更に必要な書類作成や試験の案内、さらには行政書士の紹介まで幅広いサポートを提供しています。実際に、多くの人材紹介会社が、特定技能2号への移行支援を行っています。
たとえば、外国人の就労支援を専門とする会社では、技能評価試験や日本語試験に関する最新情報を提供し、受験の手続きもサポートします。生活面の支援や日本での長期定着を前提としたアドバイスも受けられるため、孤立せずに長期的なキャリア形成を図ることが可能になります。
永住権の取得には、時間と労力、そして正確な知識が必要です。しかし、特定技能1号からスタートしたとしても、長期的な計画を持ち、資格のステップアップや在留資格の変更を図っていけば、最終的には永住許可の獲得にたどり着くことができます。
重要なのは、目標を明確にし、早期から準備を始めることです。専門機関のサポートを受けながら、着実に条件をクリアしていくことで、日本での安定した未来が現実となるでしょう。
まとめ
特定技能制度において、1号から直接永住権を取得することは制度上難しいものの、特定技能2号やほかの就労資格へのステップアップを通じて、その可能性は開かれています。必要なのは、制度の理解、計画的な資格取得、そして信頼できる支援機関の活用です。永住権取得は決してかんたんな道ではありませんが、正しい情報と努力があれば、実現することは可能です。将来の安定した生活を目指して、一歩一歩進んでいきましょう。